「他責」という落とし穴
クライアントの目標と現状が明確化されると、次はギャップの原因を分析するプロセスに入りますが、ここに最大の落とし穴が待っています。
クライアントが「他責」の状態に陥ってしまうことです。
例えば、自分が率いるチームの売上が低迷し、ここ数ヶ月の目標達成率が半分以下に落ち込んでしまっているケースを考えます。
リーダーのM氏にギャップの原因を分析してもらおうと「営業成績が目標に達していない原因は何だと思いますか?」と問いかけると、「部下がやる気を出さないから」「世界的不況だから仕方ない」「商品の魅力が乏しく、お客様にアピールできない」「上司のフォローが足りない」……
このように、責任の所在を自分ではなく他人や環境に求めてしまう状態を「他責」と表現します。
クライアントが他責の状態で発言している限り、コーチはコーチング・プロセスを(5)行動計画の作成まで進めてはいけません。
なぜなら責任が他人や環境にあるとクライアントが考えている限り、行動を起こさなくてはいけないのはクライアント以外であるため、クライアントにとって自分が行動を起こしたり変えたりする必要性が全くないからです。
つまり、他責の状態のクライアントからハイツまで建っても行動計画を引き出すことはできません。
【他責の発言例】
- 部下が動いてくれないから
- こういうやり方でやれといわれたから
- 部下が余計なことをするから
- 上司が決めてくれないから
- ルールがないから
- 上司がそう決めたから
- そういうルールになっているから
- やり方を教わっていない
- 私の仕事ではない
- どうせいっても聞かないから
- 他にもやる仕事があるから
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