Theコーチング

普段何気なく使っている手法や考え方を改めて言葉に落とす、暗黙の了解を形式知化するという作業に取り組んでいます

なぜ、現状は思い込みで分析されてしまうのか?

なぜ、現状は思い込みで分析されてしまうのか?

なぜ、現状は思い込みで分析されてしまうのか?

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Iさんの例は特異なケースなのでしょうか?「自分はこう思っている」という主観と「実際はこうだった」という客観的事実との間に齟齬が生まれることは決して珍しくありません。

「自分はリーダーシップを発揮できていると思っているが(主観)、同僚たちは自分を全く評価していなかった(客観的事実)」 あるいは「自分は部下の話をよく聞く上司だと思っているが(主観)、部下にしてみれば全く話を聞いてくれない上司だった(客観的事実)」等々の経験があるかと思います。

こういった齟齬が生まれてしまう理由は、人によってものの捉え方や考え方が違うからです。

Iさんにとって信頼できる人の条件は「先陣を切って結果を出していく人」でした。

一方、チームメンバーにとっては「謙虚で、部下を信頼し、部下の意見を積極的に吸い上げる人」が、信頼できる上司の条件でした。

現状の明確化をしていた時にIさんに必要だったのは、自分の行動が本当に部下の信頼を勝ち得ることに繋がるのかを今一度客観的に検証することでした。

ただし、口で言うほど簡単ではありません。

長い人生を通してその人が「これが一番いい」と思っている考えに疑いを挟むのは、何かきっかけがない限り非常に困難だからです。

以上の理由から、コーチは「人は自分の主観(考え方)だけを分析しようとする生き物であり、その結果、本来到達したい目標とは全く違う方向に進み始めてしまうことがある」と、肝に銘じておかなければなりません。

そこで、現状の明確化においてクライアントが自分の客観的事実を集められるような仕組みを提供したり、クライアントが客観的に自分を見つめられるようなフィードバックと質問を提供したりします。

  1. 映像や音声に記録されたクライアント
  2. ステークホルダー(利害関係者)から見たクライアント
  3. コーチから見たクライアント(4)クライアントが客観的に振り返るクライアント

映像や音声で自己を客観視させる

自己を客観視させる方法として、最も直接的で効果が高いのは、自分自身を撮影録音した情報をそのまま見聞きしてもらうことです。

セッション中に限らず、会議の様子、オフィスでの自席での自分と部下の会話、面接の様子など、了解が得られればコーチが録音や撮影に行くこともありますし、クライアントに定点撮影してもらうこともあります。

そこで記録した情報を、セッション中にクライアントと一緒に見ます。この手法はインパクトが強く、大抵はショックを受けます。

「コイツが上司だったら俺、モチベーション上がんないわ」「終始上から目線で苛立ちを覚える」と、自分自身を評した人もいるそうです。

このように、課題や汚点、不都合なことなど思い通りにいかない現実に真正面から向き合うことを「コンフロント(直面)する」といいます。

コンフロントした状態は、無意識に持っていた自分のセルフイメージ(こうありたいと願う理想の自分自身)とリアルセルフ(実際の自分自身)との間に強いギャップを認識している状態のため、非常に居心地の悪い気分になります。

人が周囲からフィードバックを恐れたり、そう簡単には聞き入れようとしなかったりするのは、コンフロントを起こして嫌な気分になるのを避けたいからでしょう。

コンフロントを起こしている瞬間は、無意識に抱いていたセルフイメージを言語化する大きなチャンスです。

以下の例のような質問を投げかけてクライアントが思っていたこと、考えていたことを客観的に検証することを促します。

【質問例】

  • 「自分自身のどんな態度、言動、行動が、あなたにそういう印象を与えるのでしょうか?」
  • 「あなたはどうしてそのような態度、言動、行動を取ってしまうのでしょうか?」
  • 「あなたは自分が理想としている態度、言動、行動とはどんなものでしょうか?」

ステークホルダーからのフィードバックで自己を客観視させる

2つ目の手法は、クライアントのステークホルダー(利害関係者)から見た情報を、対面インタビューや180度・360度フィードバックアンケートによって収集し、クライアントに提供します。定型のフィードバックアンケートの利点は、クライアントの自己評価と他者評価のギャップが数値として明確に現れることです。

双方のギャップが明確であるほど、クライアント自身の解釈で評価する自分と、周囲の解釈で評価される自分になぜギャップが生じたのか客観的に検証しやすくなります。

多くのクライアントに他者評価を付き合わせた時、「自分はうぬぼれていた」という事態に陥るのを避けようとする心理が働きます。

つまり、自己評価を低めにつけてしまうのです。

これだと自己評価と他者評価との比較でギャップの認識が生まれないため、クライアントが自己評価を述べた後、必ず「どのくらい正直に評価できたか、低めにつけてしまわなかったか」を確認し、必要であれば訂正をお願いしましょう。


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