ステークホルダーからのフィードバックをクライアントに伝えた後も、注意することがあります。
それは、他者からのフィードバックを受けたクライアントがリアルセルフ(現実の自分)とコンフロントすることから逃げないようサポートすることです。
そのためには、クライアントの内側に生じた感情を吐き出させることを優先します。
そして質問によってクライアントが自己を客観視するのをサポートします。
【質問例】
- 「フィードバックを受けてどう感じましたか?」
- 「特に気になったことは何ですか?」
- 「なぜそれが気になったと思いますか?」
- 「自己評価と他者評価のギャップが大きかったフィードバック、小さかったフィードバックは何ですか?」
- 「そのギャップの大きい、小さいは何が原因で生じたと思いますか?」
- 「今後はどうしていきたいと思っていますか?」
「どう感じたのか?」と問いかければ、「やってられるか!」「こっちの気も知らないで、勝手なことばかり。頭に来る!」などネガティブな感情が噴出することがあります。
これは人間の自然な防衛本能であり、理性よりも感情が買っている状態です。
クライアントの防衛本能を鎮め、理性的な状態にスイッチしてもらうためには、内側で渦巻いている感情を一旦全て吐き出してもらう必要があるでしょう。
そのためにもコーチは、クライアントの発言を最後まで聞くことに徹するわけです。
最終的にコンフロントによる居心地の悪さを解消するためには、自分が変わるのかフィードバックを軽く扱うかのどちらかしかありません。
感情的な状態のまま放っておくと、その場で居心地の悪さを解消するために「ステークホルダーがこういう風に思っていたことぐらい分かっていたさ! だから何だっていうんだ!!」「いちいち真に受けていたら収拾が付かない。参考までにしておけばいいさ」と、軽く扱う方を選ぶ可能性が高まります。
クライアントの内側で生じているネガティブな感情を理解し寄り添いながら、少しずつ意識を今後の自己改革に向かわせる。
こうしたやり取りを通じて、クライアントは少しずつ自己と正面から向き合う術を学んでいくことになります。
なお、これは現場のマネージャーが部下の半期の評価を伝達する時にも応用できるエッセンスです。
まず部下に評価を予想させ、その理由(加点、減点の部分)を先に聞き出すことで、部下が自分自身を客観視しているかを把握することができます。
ギャップがあった場合は、その原因を一緒に考えることで双方の考えの違いをお互い認識することができますし、さらにはコミュニケーションでギャップを解消することも可能です。
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