Theコーチング

普段何気なく使っている手法や考え方を改めて言葉に落とす、暗黙の了解を形式知化するという作業に取り組んでいます

グループコーチングの実践

グループコーチングの実践

グループコーチングの実践

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実際のグループコーチングでは、次のようなことが行われます。

(1)オートクラインを創り出す

  • 部長はビジョン実現に向け、どんな貢献ができますか?
  • ビジョン実現に向けて、部長がやることと課長がやることの違いは何ですか?
  • そもそもビジョンは何のために、誰のために必要ですか?
  • ビジョンに掲げられている「迅速な」は、何が満たされていると「迅速」ですか?
  • 行動指針とビジョンとはどんな関係がありますか?

コーチの質問の狙いは、参加者にオートクラインを引き起こし、次のような行動を取ってもらうことでした。

【多面的に考えさせる】

ビジョンは抽象的な言葉で表現されることが多いですが、その言葉の意味するところを多面的に考えることが必要です。

グループコーチングにおいてコーチが投げかける質問には、非常に答えにくいものも多く含まれています。それらは「分からない」という未完了を生み出します。

大抵の人は未完了を嫌いますので、それを埋めようと考えを巡らせます。

それが「気付き」に繋がるのです。

気付きを生み出しやすい質問には、「達成イメージを問うもの」や「様々な立場軸からのもの」があります。

私たちの考えは、「自分が今置かれている現状」や「自分の立場」に偏る傾向があるため、視野を広げるために投げかける質問といえます。

【お互いに質問し合う】

人は過去の経験を元に物事を考える傾向があります。

ベテランや上位の職務の人であればあるほど、その傾向は強くなります。

そのため、自分で考えているだけでは新たな考えや気付きがあまり起こりません。

コーチや同僚など、第三者による質問は、自分自身が作り出す質問とは違う視点によるものになり、新たな思考が広がり、気付きやすくなります。

【違いに直面する】

他の部長の意見を聞くことで、自分との考えの違いに気付くことに繋がります。

他者の意見という比較対象となるものがあった方が自分の考えを深めやすく、気付きにも繋がります。

グループコーチングで部長同士のやり取りが活発に行われたことで、部長の中に認識の変化が出てきました。

ハード部門を担当しているある部長は、「全体最適」の定義について最初は「部下が最高の仕事をして、やるべきことをやればそれが全体最適になる」という意見で、グループコーチングでもそれを強く主張していました。

しかし、ソフト部門の担当部長の意見を聞くことで、次のように変化していったのです。

  • 最適とは、必ずしも「最高」ではない。自部署が最高を追い求めることが、他部署にとって非効率を生んでいる場合もある
  • ソフト部門を視野に入れる必要があり、自分だけで完結する仕事ではない
  • 全体とは広義で捉えると「営業」も含まれる。部長である自分たちにとっては、どんなに小さくても「研究所」と考えるべきである

(2)グループで考えたことを個に落とし込む

グループコーチングの後の1対1コーチングでは、以下のような質問を行いました。

  • 前回のグループコーチングはいかがでしたか?
  • どのくらい自分の意見を言えましたか? それはなぜですか?
  • 他の方の意見で、参考になったこと、気付きに繋がったことは何ですか?
  • ビジョンについてどう思いましたか?
  • 行動指針の全体最適の「全体」が指し示す範囲は、どこまでだと思っていますか?
  • 「最適」な状態とはどういう状態だと思いますか?
  • 何をすることがビジョンの実現に繋がると思いますか?
  • 次回、ビジョンができている理想的な状態について、グループで話してもらいますが、現段階ではどう考えていますか?
  • ビジョンの実現のためにまず何をしますか?

グループコーチングでは、時間や周囲を気になって言えなかったことを言葉にしてもらいます。

その狙いは、グループで考えたことを「個」に落とし込むためです。

【自分の考えを文章にすることで、納得感を高める】

グループコーチングでの気付きを紙に書きだしてもらい、1対1コーチングに持ってきてもらいます。

頭の中にあることを「書く」作業=アウトプットは、自分の意見を冷静に見つめるきっかけとなり、余分な表現がそぎ落とされ、そして新たな気付きが付け加えられ、変化し、自分のものになっていきます。

発言するだけでは揮発性が高く、次に繋がらないため書くことにより定着を図ることができます。

【1対1コーチングで個々の部門に応じた行動に落とし込む】

ビジョンの捉え方や考え方は、人それぞれです。

グループコーチングで出された意見は、時に周りに気を使った、優等生的なものであることも少なくありません。

特に初回はお互い「様子見」するあまり、その傾向が顕著になります。

1対1コーチングの場という、他者の意見に影響を受けない環境下で、自身のビジョンを語ってもらいます。

【次のグループコーチングに活かす】

個々が落とし込んだ意見を、次回のグループコーチングで発信することで、「新たな気付き」ともたらすことになります。

学びの相乗効果が生まれ、更なるバージョンアップが図られます。

ビジョンや全体最適について、ある部長は、その重要性を認識していませんでした。

しかし、グループコーチングで、自分の考えや部内で実施していることを次々と発言する他の部長の姿を見て、「自分は目先のことしか見ていない」ことを自覚するきっかけとなりました。

以来、月次の部会ではグループコーチング同様、「ビジョンとは何か?」「ビジョンがある(ない)とどうなるか?」「自分たちは何を目指すべきか」など、必ず話題にするようにし、部内の個々の認識を深めるような時間を作りました。

(3)6ヶ月にわたり考えを深化させる

最後の切り口は「継続」です。6ヶ月にわたりグループコーチングを全5回実施しました。

継続性を持たせることにより、考えを深化させるのが狙いでした。

【繰り返し】

月に一度のグループコーチングと、その合間合間に1対1コーチングを実施しました。

負荷に感じず、かつ忘れてしまうことのない期間として、大体2週間に1回はビジョンについて考える時間を持てるようなスケジュールを組みました。

【確実に前進を促す構造】

「コーチングの戦略」で紹介したコーチングフローに則って進められました。

【宣言効果】

参加者同士で2人組を作り、次回までのグループコーチングの間に、思考の深化や実践のフォローをお互いにしてもらうこととしました。

2人組になることで、「相手に言ったから考えなければ」という宣言効果を生み、後戻り防止を図りました。

プログラム自体に継続性を持たせたことで、グループコーチングで以下の問題が何度も語られました。

  • 部門間の相互理解不足による要件の不一致の発生
  • 後工程が前行程に何を求めているかが不明確
  • 相手に何を求めているかを、伝え手が伝え切れていない

そこで、利害が発生する部門の部長が集まり、部門間・プロジェクト間のミーティングを週1回開催することが決定しました。

これまでミーティングは行われていましたが、「問題発生後の火消し」が主でした。

ミーティングの実施により、問題が表面化する前、部下や後工程に大きな影響を及ぼす前に話題が上がるようになり、「予防管理」を軸とした問題解決が図られるようになりました。

それにより、部門間で発生する問題に対処する時間を短縮できました。


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