クライアントの目標達成に向けての制約になることがある場合、コーチはそれが何なのかを明らかにしてもらうよう関わっていきます。
ここでは、創造的コミュニケーションとは反することをAさんが小学校以来続けてきていることを発見しています。
しかも、学級委員としても1つの決定行為がもたらした結果に囚われた末のものでした。
このため、自己主張や自分の軸での意思決定、決定事項の伝達ということから、「周囲の反対」を自動的に連想するようになってしまったのです。
このような非合理な思い込みを心理学では「イラショナルビリーフ」と呼んでおり、コーチングでは、非合理な思考が目標達成にとって問題だと判断すると、合理的な思考の選択肢を採れるように関わっていきます。
コーチは、Aさんの現状認識が深まったのを見つつ、今後の進め方の提案をしました。Aさんのコミュニケーションについての印象を、インタビュー形式で上司・同僚・部下を始め、職場の関係者に回答してもらいました。
数日後、上司・同僚・部下のそれぞれ1名にインタビューを実施し、次のセッションでその結果を点数にして伝えました。
(1)何でも意見やアイデアを言いやすい人である |
70点 |
(2)色々な意見を聞き出すだけでなく、ブレのない軸で判断できている |
30点 |
(3)自分の考えを通したいということを、攻撃的ではない形で主張できている |
30点 |
(4)最終的な判断結果を分かりやすく部下や関係者に伝えられている |
60点 |
(5)関係者のプロジェクトへのコミットメントを高めている |
60点 |
定量的な評価結果だけでなく、そう評価した理由もAさんに伝えます。
「Aさんはいつもこちらの意見に耳を傾けてくれるが、皆の意見を全部反映しようとし過ぎていて、部門としての方向性が揺らぐことが多い。もっと自分のビジョンを前面に出して、一貫性のある部門運営をして欲しい」
「Aさんは時折、ご自分の意見をおっしゃる場合に表情が硬くなって少し怖いと感じることがあります。また、こちらの意見を少し我慢して聞いていると感じます。もっと気軽にご自分の意見をおっしゃっていただければと思います。お互いに何でも表に出して議論していける場の空気を期待しています」
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