Theコーチング

普段何気なく使っている手法や考え方を改めて言葉に落とす、暗黙の了解を形式知化するという作業に取り組んでいます

コーチングが機能する条件

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誰がコーチングを必要としているのか?

コーチングは目標達成のための手段ですので、「誰が、どのタイミングで」使うのか、という「適切な使い方」を知ることが有効です。

それでは、仮に他部署から新たに配属された部下、あるいは新入社員たちにとって、コーチングは有効に機能するでしょうか?

その理由は何でしょうか?

また、現在の業務に対して経験豊富で意欲的に仕事を進めるベテラン社員は、現在に業務についてコーチングを必要とするでしょうか?

そして、そもそも誰がコーチングを必要としているのでしょうか?

もしかしたら、これら全てのケースにおいてコーチングを何らかの形で役立てることができるかもしれません。

しかし、このサイトでは話を単純にして、ある程度の判断基準を紹介します。

ポイントは、対象となる相手の(1)精神状態(2)成長段階を見た上で、(3)課題領域をチェックすることです。

相手の精神状態を気にかける

コーチングは成果志向が強く、成果に向けて相手に必要な「変化」を求めていく関わりです。

そのため、コーチはクライアントに対し、安心に満ちた「内省させるための時間」を作ることがありますし、逆に変化の必要性を伝えるための緊張した「直面させるための時間」を作ることもあります。

したがって、クライアントとなる人は、こうした緊張と弛緩のある対話の参加できるだけのエネルギーレベル、精神的な安定があることを最初に確認しておく必要があります。

相手の成長段階を見極める

部下の成果と成長に向けてコーチングを活用するにあたっては、部下の能力と意欲の状態を読み取りながら、対応の仕方を変えていくことが重要です。

仮に、あなたの部署にBさんという部下がやってきたとします。

早速業務上の役割を与えたいのですが、まだ不慣れなため、1人で自己完結的に業務を進めるのは難しい状態です。

皆さんは、最初どのようにBさんを目標達成に向けて引き上げますか?

意欲の高低、知識や業務適応能力によって区分された次のマトリクスを基に考えてみましょう。

意欲×知識(業務適応能力)のマトリクス

意欲が低い

知識が高い

意欲がある

知識が高い

意欲が低い

知識が低い

意欲がある

知識が低い

意欲は高いが、業務適応能力が低い場合

現実には、Bさんの細かな特性によって様々なやり方があると思われますが、ここではおよそ「意欲が高く、業務への適応能力が不足している」部下に対する対応指針、という意味合いで話を進めます。

Bさんはきっと、新しい業務に対して期待を不安が入り混じった状態でしょう。

何か新しいことを始める際の「意欲」をBさんから感じることができるかもしれません。

Bさんの「自発性」と「意欲」をさらに高めてあげたいという純粋な好意から、「君はどう思う?」という「問いかけ」をする人もいるかもしれません。

そして、Bさんは何とか上司の期待に応えようと必死になるでしょう。

結末はどうなるでしょうか。

Bさんが、想像力に富んだ、高い適応能力を備えていれば考える喜びと仕事が進んでいく快感から意欲を高め、一気に成長軌道に乗ることができるでしょう。

しかし、十分な経験がなく、また考えるための知識も不足している場合、「考えようとしても想像がつかない」「アイデアを無理矢理ひねり出したが、アウトプットの質に不安がある」「上司の期待に応えられていないようで申し訳ない気持ちになる」と、悩むかもしれません。

そんな中で仮にOKが出されたとしても、すぐ次の困難に直面し、だんだんと自信を失っていくかもしれません。

そうして自己信頼を失い、根本的な意欲を落としていくリスクも低くありません。

こうした業務に不慣れな段階では、コーチングで多用する問いや傾聴を駆使しても前に進まず、逆に不適切な結果になることも珍しくありません。

むしろ一般的には、上司が結果に向けて部下に知るべきことを「教え」、進むべき方向と何をすべきかを明確に「示し」、相手を「リード」していく方が効果的かもしれません。

すなわち、意欲が高くても知識や業務適応能力が低い場合はコーチングは機能しにくいのです。

業務適応能力は徐々に上がっているが、意欲が低下している場合

業務の難しさに直面したBさんは、プロフェッショナルへの道が想像以上に困難であることを実感する中で、当初の「意欲」がだんだんと落ちることもあるでしょう。

しかし、壁にぶつかりながらも1つひとつ乗り越えていく中で、Bさんの業務能力は確実に向上しているのです。

多少のスキルが身についていることは感じていても、思ったほど前に進んでいる実感を得ることができず、自分のふがいなさに嘆くかもしれません。

そんな中でも、Bさんにできることは与えられた目標に到達するために落ち着いて行動をとり続けることなのです。

つい目の前のことに夢中になり、視野が狭くなっている状態に対し、風穴を開ける一言を与えてくれる人、そして僅かな時間でも確実に次の1歩へのきっかけを与えてくれる人、こうした人たちは、意欲を落としたBさんに気遣いと問いかけを通して、次なる指針を示していきます。

業務知識が備わってきたBさんは、自分で再度、よりよいやり方を考え直すことができるでしょう。

誰かが見てくれているという安心感から、意欲を持ち直すことでしょう。こうして自力で再チャレンジしていくことができるのです。

この段階にいる人の多くは、業務知識や適応能力が徐々に身についているにもかかわらず、そのことに気付いていません。

また、ほとんどの場合、走り続けている過程でだんだん意欲が停滞あるいは低下していることも珍しくありません。

こうした状況に直面している人にこそ、コーチの存在が必要となるのです。

部下をよく観察している管理職も、こうしたタイミングを逃しません。

そして、これまでの「指示する」「リードする」「教える」コミュニケーションを、徐々に「認める」「理解する」「考えさせる」やり方にシフトさせていくのです。

コーチングは緊急事態には不向き

ここで1つ注意。

コーチングは、相手に理解を示し、相手に考えさせるプロセスを重要視するため、スピードを優先しなければならない事態=緊急時には向いていません。

トラブル対応で、即解決が求められる場面に、相手の話をゆっくり聞き、問いかけをしていくことは逆にリスクを伴います。

解決しようとしている課題領域が、重要ではあるが緊急性が低いものである場合に、コーチングのアプローチが機能するのです。

成長の過大評価は禁物

さて、Bさんの成長に向けたコーチングが功を奏すと、徐々にBさんは自分の進歩を実感し、自信を取り戻してくるでしょう。

引き続き、業務経験を積み重ね、次第に自らの判断で業務を進められるレベルへと成長していきます。

そんな様子を見ると、思わず安心したくなりますが、これは禁物です。

部下の側には依然として「自らの判断に確信が持てない不安」が残っていることを、経験上ご存知という方もいるかと思います。

この段階まで来ると、過度の介入は本人の自尊心を傷つけるリスクもありますので要注意です。

Bさんに業務の主導権を与えつつも、目を離さず「観ておく」こと、助けを求められた場合は積極的に支援することが必要となるでしょう。

その後、順調に経験を重ね、成功と失敗から学び、その分野については自己完結的に業務推進できるようになると、いよいよBさんに大きな「役割」や「責任」を与え、任せることができるようになります。

その後は、より大きな期待と責任を果たすことを通じて、Bさんは更なる飛躍のステージに入ることができます。

コーチングは使うタイミングがポイント

コーチングの支援には、相応しいタイミングがあります。

管理職としてコーチングを現場で活用する際には、相手の精神状態、相手の成長段階、そして解決したい課題領域を分析する必要があります。

すなわち、コーチングが効果的な方法となるためには、コーチングが機能するタイミングを見出す、という力が要求されるのです。

その意味では、コーチングを活用する上で1番に求められるのは、相手に対する深い関心と、繊細な観察力といえます。


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