Theコーチング

普段何気なく使っている手法や考え方を改めて言葉に落とす、暗黙の了解を形式知化するという作業に取り組んでいます

コーチングの実際

コーチングの実際

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コーチングの開始

コーチング全体の流れ

ステップ(1)セットアップ

ステップ(2)実践

ステップ(3)振り返り
リサーチ プランニング コーチングの実践 結果の評価

ここでは、一例を紹介しながらコーチングがどのように行われるのか見ていきたいと思います。

まず、コーチングを正式に始める前に、クライアント候補に会います。

その面談は、クライアント候補が解決したい課題に対してコーチングが最も相応しいのか、そしてこのクライアント候補の課題に対して現在のコーチ候補が最適なのか、お互いに確かめる目的で設定されます。

また、コーチングはコーチとクライアントの関係上に成立する面が多いので、クライアント候補とコーチ候補の相性を確かめる必要があります。

お互いの情報の機密性を保障し合い、安心と安全を感じ会いながら、自由かつオープンに意見交換し合えることが重要です。

面談でお互いを知り、コーチングを進めることが相応しいと判断できると、続いてコーチング・プログラムを設計するプランニングセッションに進みます。

コーチングをプランニングする

プランニングセッションでは、目的と目標、そして成長課題を可能な限り明確にしていきます。

また、コーチングの形式的な条件(期間頻度、その他電話対面などの形式)の合意を取ります。

プランニングセッションで最も大事な点は、やはり目的と目標の明確化です。

具体的には、コーチングの目的が「リーダーシップの強化」だった場合、それを達成するためにどのような目標を設定することが妥当なのか、達成されたことを何によって測れるのか、その基準を明確にしていくことです。

こうした目標設定と達成基準の明確化のために、詳細なインタビュー(クライアント本人、その関係者で利害関係が近いものを含むことがある)を行うこともありますし、アセスメント(調査・測定するための指標)を使うこともあります。

いずれにせよ、こうした事前調査があることで、コーチングの前後で期待する変化が生まれているかどうかの把握が可能になります。

対話を通じて課題を整理する

大手製薬会社に勤めるD氏は、「言葉少ない」が温和な性格で、非常に誠実な人物として知られていました。

これまで多くの部下の信頼を集め、一分野のマネジメントを成功させてきました。

こうした実績を背景に、会社の組織改革を推進するために新設された部門のトップに抜擢されました。

氏に与えられた役割は、「全社の間接部門の業務プロセスを見直し、組織改革をリードする」ことでした。

部下は150名強。

比較的小規模な組織の管理をしてきたD氏にとって、同じ管理職でもこれまでとは違ったリーダーシップの発揮の仕方が求められることに気付き、漠然とした不安を抱いていたそうです。

当初は、あまりにも大きい課題に対して何から手を付けるべきか整理がつかない状況でした。

しかし、コーチングでの対話を通じて、優先的に取り組むべきいくつかの課題を明確にすることができました。

D氏は、自らの役割の発揮するためには「変革へのビジョンと具体的なプロセス」を早急に打ち出すこと、利害関係者の合意を取ること、その過程で反対勢力に屈することなく、「言うべきことを言い、通すべきこと通す」パワーが必要であること、そして部内の社員にある不安を解消し「動機づける」必要があり、そのために改革の戦闘を進むに相応しい態度と言動を取らねばならない、と整理しました。

調査し、確かめる

ただ、整理された課題が本当に妥当なのか、そして課題解決のために打つべき具体策は何かについて実態を確かめるために、D氏は重要な利害関係者へのリサーチと、部下に対するアセスメントを実施することにしました。

アセスメントでは、社員からの具体的な不満、D氏への要望が明確に示されていました。

特に「明確なビジョンの提示がない」こと、「実現への情熱が伝わってこない」こと、社員との間の変革に向けたコミュニケーション不足、精神的距離感などが強調されていたそうです。

そして、これらの結果を分析し、D氏の整理した課題認識はおよそ的を射ていることが確認できました。

目的地に辿り着くストーリーを描く

そもそもD氏が達成したいこと、それは「会社の業務プロセスの見直しと組織改革の取り組みを成功させる」ことでした。

そこで、どういう手順で成功まで至れるのか、その仮説を対話を通じ明確にしていきました。

D氏は、変革のビジョンを練り上げる部内会議で合意が形成できること、次に全社の利害関係者による経営会議で、ビジョン実現への具体的な施策の合意が得られること、最後に部内全員への伝達の場で理解が得られ、動機付けができることを目標にしました。

そしてこれらをマイルストーンにして、コーチングを進めることに合意したのです。

目標達成のための成長課題を明確にする

マイルストーンを目指すにあたって、D氏は周囲に与える影響力を変えなければならないと、ヒアリングとアセスメントの結果を通して理解していました。

具体的には、ビジョンや方針を伝える際の明確さ、そして利害関係者や社員との対話頻度と内容の率直さの不足が、部内外からの「意気込みがない」という評価に繋がっていると判断していました。

そして、これらを成長課題として直ちに手を打つことを決めます。

しかし、影響力の繊細な変化は自分では確認しにくいものです。

そこで周囲の主要な利害関係者から2週間に一度、具体的なフィードバックを得るという環境を作ったそうです。

対話と通じて軌道修正、フィードバックを繰り返す

D氏の変革への取り組みは、途中、予想外の混乱や抵抗勢力の圧力、小さな失敗などがあり、何度も暗礁に乗り上げそうになったそうです。

しかし、その度に対話と通じてビジョンに立ち返り、次なる施策を再検証して軌道修正しながら、1つひとつのハードルを越えていきました。

途中、自分の影響力の変化を確かめるためにフィードバックを受け、振り返りの材料としました。

また、再度アセスメントを実施したところ、変革に向けた評価は上々で、中にはD氏の変化に対する勝算や応援もありました。

こうしたことに勇気づけられながら、D氏は9ヶ月かけて変革を軌道に乗せることができました。

コーチング開始当初、D氏は「自己変革したい」と語っていましたが、組織の変革とともに実際のD氏自身の変革も達成できたことになります。

目標達成→成長実感→自己効力感というプロセス

コーチングは目標達成を支援するだけでなく、その達成を元に、クライアントの内面に強い自信を構築していくプロセスでもあります。

人はハードルを乗り越えていくことで、次第に自信を深めていくことができます。

そして、自らが周囲に能率的に働きかけることで、周囲に影響を及ぼすことができることを理解します。

このような「自分は目標へと進むことができ、しかも達成することができる」という実感(自己効力感)、「自分は周囲に働きかけ、影響できる存在であり、価値ある存在である」という実感こそ、自主性や主体性を支える基盤となり、次なる課題に挑戦する意欲と勇気を与えるのです。

コーチは、クライアントが目標達成するだけでなく、その後も生活達成し続けられる人材に育てること、これらを同時に実現していくことを意図します。

コーチングはその意図の元、あるテーマについて集中的・長期的・継続的に関わるプロセスでもあるのです。


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