Theコーチング

普段何気なく使っている手法や考え方を改めて言葉に落とす、暗黙の了解を形式知化するという作業に取り組んでいます

コーチングの機能と特徴

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(1)コーチングは「知識」と「行動」の間の溝を埋める

「後進が育たない」「ビジョンが浸透しない」「一体感が感じられない」これらは、リーダーマネージャーの悩みとしてよくあるテーマです。

こうしたテーマについて日々考え続け、そして必要な情報を集めている場合が多いのです。

そして、その解決策を頭で理解していることも珍しくありません。

人間は多かれ少なかれ、「分かっているけど、行動できない」という経験があります。

コーチングはこうした「知識と行動の間に横たわる溝」に橋を架ける作業ともいえるでしょう。

仮に「後進が育たない」ことに悩んでいるAという部長がいるとします。

その理由も明確に語ることができます。

「自分が部下に権限を移譲しない」からです。

理由は分かっているのに、実際に移譲しないのです。

この場合、コーチはA氏にどのような支援ができるでしょうか?

(2)コーチングは、強制ではなく放置でもない「第3の選択肢」を探す

本人が「分かっている」のだから「部下に権限移譲しなさい」と強制的に指示すればいいと考える人もいるでしょう。

一方でやらないのは本人の問題だから放っておけばいいのではという考えの人もいるでしょう。

では、そのいずれでもない選択肢とは?

まず、A氏が「後進を育成する」ことで何が得られるのか、A氏の望みに関心を持ち、そのことを尋ねてみたところ、「現場の社員が次世代のビジネスに繋がるアイデアをミドルに上げ、ミドルがそれをプランにし、私が経営的観点からGOサインを出すかどうかを判断する、そのような組織を作りたい。そうした理由からミドルの課長にはプランを考えられる存在になって欲しい」とのことでした。

(3)コーチングは「本当に思っていること」を明らかにする

しかし、A氏は直後にこうも言いました。

「自分は矛盾しているんだな」人は何かにつけて頭では「分かっている」とか、あるいは「思っている」と認識しますが、それは単にそう「思っている」だけで、「本当に思っていること」は別にあるのかもしれません。

権限移譲しないことで失っているものは何かとA氏に聞いてみました。

「今は自分が現場の社員から上がってくる相談を全て応じてしまっている。結果、課長を中抜きにしてしまっている。最近は現場での課長の信頼度が低下している。これは私の思い描く組織像ではない」

A氏は、後進を育成したい、そのために権限移譲すべきだという考えは本当に自分が思っていることなのかということ自体に疑問を持ち始めたのです。

さて、A氏は本当に矛盾しているのでしょうか?

コーチングしていると、クライアントのいっていることとやっていることとの間に矛盾があると思うことがあると思います。

この時、一見矛盾に見えるクライアントの選択でも、実は背後ではつじつまが合っていることが珍しくないのです。

A氏の件も同様で、彼が権限移譲することで失うものがありました。

彼が失いたくないもの、それは長年培ってきたスタイルでした。

A氏は現場の生々しい情報を自分で見聞きし、的確な判断をするというやり方で成功してきました。

さらに深く聞いてみると、彼にとって権限移譲とは、自信のスタイルの見直しを迫る選択と解釈されていたのです。

(4)コーチングは、対話を通じて「想い」を「決意」に変える

A氏に再度、後進育成に対する決意を確認することにしました。A氏は再度その重要性を強調しました。

そこで、A氏のスタイルを維持しながら、後進の育成を進めるためにアイデアについて探求することにしました。

具体的には「A氏が最大限の情報を入手しながらも、後進育成に向けた権限移譲を進められる方法は何か」ということです。

対話を続けた結果、A氏は2つことを「決意」しました。

まずは、現場の社員と課長とA氏の三者で会話する際、「自分が解決するために情報を聞き出すやり方」を改めること。

すなわち課長を置いてけぼりにしないこと。

その代わりに課長が意思決定するという前提で現場の社員から情報を聞き出し、自分の見解も交えながら、最終的には課長に意思決定を求めることでした。

(5)コーチングは自己を「客観化」させ、「選択の検討」に向かわせる

コーチングにおける対話の特徴は、相手に積極的に問いかけながらも、相手の自発を促し、最後は自分で解決することを促す点にあります。

主導権はあくまでクライアントにあり、コーチは支援者です。A氏の場合は、A氏が「権限移譲しようと思ってもできない」という現象に着目し、そのような状態を生み出しているA氏の捉え方や背景を一旦客観的になって再検討してもらうことを目的に、対話を進めました。

さらに、対話の中で「思っていると思っていること」と「本当に思っていること」には違いがあることを考察すること、「自身の選択のペイオフとコスト(得ている者と失っているもの)」を再興することに着目し、質問を投げかけたのです。

(6)コーチングは2人で1つのキャンバスに向かうイメージで

コーチとクライアントのリレーションは、上下関係ではなく横に並んだ関係です。

そして、コーチングするということは、並んで椅子に座り、目の前に立てかけられたホワイトキャンバスを見ながら、対話していくイメージです。

コーチは問いかけ、語りかけ、クライアントはコーチからの問いかけや情報に啓発され、自由に発想を広げ、言葉を紡ぎ出し、キャンバスを埋めていきます。

(7)コーチはクライアントの「長期的成長の支援」も視野に入れる

コーチングを進めていく過程で、「もう一度自分の考えを自分自身できゃん間的に見直せるようになった「自分で自分をコントロールできるようになった」というクライアントがいるでしょう。

最終的にコーチがいなくても、クライアントが「自走」 できるようになることを意図してコーチは関わります。

本人に「客観的な立ち位置の質問」を投げかけ、「考えさせている」のは、背後に「自分で自分について客観的に考えられるようになる」ことを意図しているのです。

その意味で、コーチングは対話を通じて相手の成長を実現するプロセスともいえます。この「成長」というキーワードは、コーチングを貫く大切な概念であります。


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