6つの基本ステップ
最も基本的なコーチングのストーリーをコーチング・プロセス(コーチング・フロー)と呼ばれ、6つのステップに分かれます。
(1)セットアップ
コーチングを始めるための準備にあたります。
コーチとクライアントとの信頼関係の構築に始まり、コーチングの進行に関する合意の形成を行います。
そして、クライアントが何をテーマにコーチングを受けたいと思っているのかをヒアリングし、コーチングをスタートさせる準備を整えます。
通常はプレコーチングにおいて実施します。
(2)目標の明確化
「目標の明確化」は、クライアントがコーチングの期間を通して達成したい目標を具体化させることです。
このステップが終わらないとコーチングがスタートしたとはいえません。
【質問例】
- 「このコーチングであなたが達成したい目標は何ですか?」
- 「何のためにその目標を達成したいのですか?」
- 「目標を達成することで何を手に入れることができますか?」
- 「目標の達成度合いを測る基準は何ですか?」
(3)現状の明確化
クライアントが設定した目標に対して、クライアントの現状について分析を行います。
目標に対する現状が正確に把握できて初めて、双方の間にあるギャップに気付くことができます。
このステップに失敗するということは、現在地が分からないまま地図を広げ、闇雲に目的地へ歩むようなものです。
【質問例】
- 「目標が達成された状態を100点とすると、今の点数は何点ですか?」
- 「目標の達成に向けてこれまで取り組んだこと、現在取り組んでいることは何ですか?」
- 「取り組んだ結果、これまでにどんな変化や進展がありましたか?」
- 「現在あなたが取り組んでいることに対して、あなたのステークホルダー(利害関係者)はどんな評価をしていますか?」
(4)ギャップの原因分析
設定した目標が達成できていない背景や分析を行うことです。
原因が分かれば、何をするべきかが分かってきます。
後は原因を乗り越えるための行動計画を立て、それを実行すればよいのです。
ステップの(2)(3)(4)をクライアントに繰り返し考えさせることでコーチングは進んでいきます。
【質問例】
- 「目標と現状の間にギャップが生じている原因は何だと思いますか?」
- 「目標達成のためにあなたが変えなくてはいけない習慣は何ですか?」
- 「目標達成を妨げているあなた自身の課題は何ですか?」
- 「あなたのステークホルダーが認識している課題は何だと思いますか?」
(5)行動計画の作成
浮かび上がったギャップの原因を解消し、目標に向かって前進するためのアクションプランを練ります。
ここで計画する行動の積み重ねが、目標への着実な前進へと繋がります。
一足飛びに達成しようとする行動、課題可決のために絶対的に正しい行動を計画しようとすると、帰ってアイデアが浮かばないものです。
コーチは「少しでも前へ前進するためにできること」というスタンスでクライアントから行動のアイデアを数多く引き出します。
【質問例】
- 「早速今日から始められる行動、やめられる行動は何ですか?」
- 「その行動をいつ、どこで、誰に対して実行しますか?」
- 「その行動を更に効果的にするために工夫できることは何ですか?」
- 「次回のコーチングまでに達成することは何ですか?」
(6)フォローアップ
ステップ(5)で作成した行動計画を実行すると、前進することもあれば思うようにいかず後退や回り道を余儀なくされることもあります。
そこで随時、行動計画の修正と改善を支援しながらクライアントが目標を達成するまでサポートするのがフォローアップです。
フォローアップではコーチング・プロセスの(1)~(5)のプロセスを繰り返し行っています。
【質問例】
- 「目標達成に向けて、今回のコーチングでは何をテーマとして扱いたいですか?(セットアップ)」
- 「前回立てた行動計画を実行してみてどうでしたか?(現状の明確化)」
- 「次のセッションまでにどこまで前進したいですか?(望む未来の明確化)」
- 「そのために解決しなくてはいけない課題は何ですか?(ギャップの原因分析)」
- 「その課題を乗り越えるための取るべき行動は何ですか?(行動計画の作成)」
中でも重要な3つのステップ
コーチング・プロセスのステップは、どれも欠かせないものですが、中でも繰り返し行われるのがステップ(2)(3)(4)です。
便宜上、数字を順番に振っていますが、順番を守ることは重要ではありません。
また、各ステップを1回ずつしかしてはいけないということもありません。
(3)の現状の明確化を行った後、(2)の目標の明確化を行い、また(3)を行ってから(4)のギャップの分析を行う。
こんな風にステップ(2)~(4)を何度も繰り返すことで、目標達成に向けて何をすべきかが見えてきます。
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