その他にも様々な取り組みが行われました。
ここでは特に効果の高かった試みを紹介します。
(1)職場に「承認」を響かせる
努力している若手社員の情報を管理職で共有して、彼らと出会った時、管理職全員が「承認」することにしました。
例えば、若手社員が朝一番で他の職場の課長と会った時、普段は軽く会釈を交わすだけの間柄ですが、「効率を上げる提案をしたそうだね」と、課長から話しかられます。
また、お昼休みには別の職場の部長から「よい評判を聞いたよ」と言われるのです。
このように承認の習慣を管理職が率先して職場でやっていけば、誉められた若手社員のやる気も上がって「望ましい行動」が続き、他の社員にも競争意欲が見られるようになります。
これはモチベーションアップと組織を横断するコミュニケーションの活発化にも繋がったのです。
総務部長「アイデアを聞いた時は、子供だましと思ったのですが、若い人たちを見ていると、満更でもないですね。管理職が自然な感じで声かけしたのもよかったのでしょう。そのうち自然な光景として、工場に定着しました」
(2)トップが成功事例を広める
ある係長は、毎週4人の部下を選んで、仕事への想いを1人20分は聞くようにしました。
最初は時間のやりくりが大変だったそうですが、オープン・クエスチョンで質問することを意識していくうちに、時間を延長することが重なり、やがて毎週30分になったそうです。
すると部下のやる気は、見違えるように高くなりました。
この成功事例をコーチは工場長に伝え、工場長はすぐ全ての部署会議や作業現場で、この話をしました。
工場長自ら話を広めることで、「望ましい行動」が明確に伝わります。
すると、コーチングを実施していない部署でも、事例の真似をする管理職が増えたそうです。
モデル部署を作る戦略を取った以上、情報共有は工場全体にコーチングの考え方を広めるために欠かせません。
工場長がその意味を理解して、率先して動いたことが成果に繋がりました。
(3)コーチが手本を見せる
コーチは意図的に多くの社員の前で、前向きな発言や他の社員をサポートする言動に対して「承認」をしました。
重要性は理解できなくても、どのような言葉を、どのようなタイミングで相手に伝えるのかを、手本を見せたのです。
コーチングに裏付けされた方法を知ることで、自信を持って承認ができる管理職が増えました。
技術部長「誉めるのがよいのは分かりますが、実際にどう誉めるかまではビジネス本には書いていないんですよね。コーチが実際に、部下のタイプ別の誉め方を見せてくれて参考になりました。あと、自分がコーチに誉められたことで、こうすればいいんだと分かりました」
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