Theコーチング

普段何気なく使っている手法や考え方を改めて言葉に落とす、暗黙の了解を形式知化するという作業に取り組んでいます

自動車メーカーのマネージャーのケース

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概要

このケースでは、コーチがクライアントの事前情報を受け取るところから始まり、プロジェクトマネージャーのAさんが管理職としてのキャリアパスを開拓していく奮闘ぶりを描いていきます。

当初、Aさんは上司や部下とのコミュニケーションを変えることを目的にコーチングに臨みましたが、セッションの中で本当のテーマに気付いていきます。

そして、セッションを続ける中で深い自己現状意識に辿り着いていきます。

セッションの事前準備

コーチはコーチングセッションの初日を迎え、Aさんのプロフィールを見ていました。

Aさんは40代半ばで、自動車メーカーの人事部門教育関係の仕事をしているそうです。

現在の役職はマネージャーで、それまでは入社してからずっと設計部門に在籍し、最多で10名の部下がいたこともあります。

現在の部下は20代後半の若手社員が3名で、上司は50代後半です。

コーチングのテーマは「管理職としてのキャリアパスを歩んでいくためのコミュニケーション変革」とあります。

具体的には「上司部下とのコミュニケーションを良好にする」ことが希望だそうです。

今回コーチングを受けるきっかけは「上司との面談」とのこと。

今後のキャリアを管理職として歩む場合、部下や周囲とのコミュニケーション力が必須になると言われたことが契機とあります。

(1)コーチングの方針

コーチはまず、全体のフローを構想します。

管理職として認められていくにはコミュニケーションの取り方が鍵となるという点に着目して、次のようなフォローを作りました。

・セットアップ今回コーチングを受けようと思ったきっかけを伺う
目標の明確化管理職として求められている役割は何かを明確にする役割遂行に必要なコミュニケーションを明確にする
・現状の明確化自分の現状を考え、周囲からフィードバックももらうコミュニケーションの背後にある価値観を解明する
・ギャップの原因分析理想のコミュニケーションと現状とのギャップを探るギャップをあり方、スキル、行動の3つの視点で分析する
・行動計画策定望ましいコミュニケーションの実践を計画する
・行動実践望ましいコミュニケーションを実践する
・フォローアップ目標達成度と成果を評価。今後の行動を描く

(2)コーチング全体の戦略と構造

続いてコーチは、クライアントはPresence・Possession・Behaviorに照らし合わせて、コーチング全体の進め方についての戦略やフレームワークを構想していきます。

今回のセッションでは、Aさんが管理職として相応しいコミュニケーション能力を身につけ、実践できるようになることをテーマと想定しています。

Aさんのキャリア感の根底にある価値観、そしてコミュニケーションや対人関係の背後にある価値観を掘り下げ、表層的なコミュニケーションスキルの問題ではなく、Aさんの価値観を一貫して扱う必要があるのではと、コーチは考えました。

これがPresenceでのフレームワークです。

そして、価値観を明確化したら、その価値観に沿ったキャリアや対人関係を実現するための手段としてのコミュニケーション(Possession)について棚卸しをし、必要なものを身につけるフェーズに移行しようと考えました。

これがPossessionのフレームワークです。

そしてPresenceレベル、Possessionレベルで十分な気付きとコミットメントを得られたら、いよいよ新しい考え方やコミュニケーションスタイルに基づく実際の行動です。

これがBehaviorレベルのフレームワークです。

結果、次のような戦略と構造が考え出されました。

コーチが構想した戦略と構造
1.コーチングの目的を明確にするコーチング上の目的を明確にするため、Aさんがどんなキャリア、どんな管理職になりたいのか、それを通じた何を実現したいのかをセッション早期にクリアにする。得たいのはコミュニケーションスキルやスタイルそのものではなく、あくまでも管理職としての評価や今後のキャリアパスを開拓していくことと想定して聞いていく
2.目的に沿った目標設定をするコーチングの目的が明確になったら、目的達成のための目標を設定する。ここでは、Aさんの目標設定のために、Aさんが周囲とどんなコミュニケーションを取っていくのが望ましいかを扱う。テーマをコミュニケーションスキルの領域と矮小化せず、あくまでもキャリア上の目的達成のための目標と位置づけて扱う
3.行動やスキルに留まらず、意識レベルのバージョンアップを迫るコミュニケーションも表層的にスキルとして捉えるのではなく、コミュニケーションを取る際の無意識レベルの思考や価値観などについて取り扱う
4.客観的な現状認識をさせる仕組み作り現状認識を深めるため、現在だけでなく過去の上司・部下の協力を得て、Aさんの行動やコミュニケーションについてのリサーチを行う
5.本人にあるリソースの発見と活用Aさんはキャリアも長く、マネジメント経験も持っているので、これまでの体験や強みから今後に活かせるものを可能な限り見つけて活用する
6.周囲のリソースの活用その反面、どうしても考え方を変えなければならない点、行動を変革する点の発見については、キーマンである現在の上司を上手く巻き込んで行う
7.目的、目標を貫く確かな軸作りAさんの価値観や無意識レベルの思考を明らかにし、その明らかになった価値観を軸にして、Aさんらしいキャリアプランやコミュニケーションスタイルを明確化する
8.変化を促進する仕組み作りコーチとAさんの間だけで取り組みのではなく、周囲も上手く巻き込んでやり甲斐のある場を作る。具体的には、上司や部下、家族、友人などあらゆる人に挑戦する変革行動を宣言してもらい、Aさんの挑戦に周囲から関心が寄せられ、変化には惜しみない励ましや承認が得られるような仕組みを用意してモチベーションを高めていく

こうしてAさんのこと、テーマのこと、そしてコーチングセッション全体のデザインをまとめたコーチは、準備作業を終えることにしました。


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