「本当に達成したい目標」ではない2つ目の目標は、「しなければならない目標(Have toの目標)」です。
「このプロジェクトを成功させないと降格させると、上司に脅された」というような、達成しなければ発生するであろうマイナスの出来事を回避するために設定されるような目標です。
ここまで極端ではなくても、できることならやりたくない、しかし行動を起こさないと自分にとってマイナスの出来事が起こる、だから仕方なく行動を起こすという動機付けで行われるのは全てHave to型の行動です。
母親に怒られて小学生が宿題をするのは、この先怒られ続けるというマイナスを回避するためや、毎朝「ああ、今日も仕事か」とため息をつきながら出勤するのは、はたかないと職を失い衣食住を失うというマイナスを回避するための行動はHave to型の行動です。
一方、「真に達成したい目標(Want toの目標)」とは、「この目標を達成して出世したい」というような、達成することで発生するプラスの出来事を追求するために設定されて目標です。
希望する学校に合格したい一心で、誰に言われるでもなく勉強する学生はWant to型です。
また、働かないと衣食住を失ってしまうという前提があるものの、「仕事をすることでお客様に喜んでもらえるし、頑張れば自分自身が達成感を得られるから」とプラスイメージで仕事をする場合はWant to型になります。
要するに、組織から、あるいは上司から与えられた目標だから即座に「しなければならない目標」になるかというとそうではなく、心の内でその目標に向かうことでプラスを手に入れようとしているか、マイナスを避けようとしているかによってHave toかWant toかが決まります。
Have toの目標をWant toの目標に引き寄せるには
組織や上司から目標を与えられたとしても、それをHave toと捉えている人とWant toと捉えている人とでは、最終的な成果は変わってきます。
Have to型で動く場合はどうしてもWant to型よりもモチベーションが低くなり、またマイナスを回避するための必要最低限のことしかやらなくなるため高い成果が望めません。
脳科学者の茂木健一郎氏によれば、脳の働きの本質は「自発性」であり、脳に何かを強制することはそもそも難しいそうです。
「組織や上司が決めたことだから、自分は本心からその目標に同意していないが、サラリーマンとして従うしかない」というようなスタンスで話すクライアントの目標は、必ず再考の余地があります。
コーチの側も、「決められたものなら仕方がないですね」と、クライアントがHave to型のままでコーチングをスタートすると失敗することになります。
その後のセッションで目標に達するメリットを無理矢理クライアントから語らせようとする、目標に達成する意味を説得しようと試みる、なぜ目標に向けた行動を起こさないのか詰め寄る、といってコーチングからかけ離れたやり取りが待っています。
これでは成長の支援どころではありません。
ビジネスの現場では、むしろ組織や上司の都合で部下の目標を決定することの方が多いかもしれません。
では、全ての部下が与えられた目標を嫌々こなすのかというと、必ずしもそうではありません。
与えられた目標をあたかも自分で選んだかのように、エネルギーに溢れた様子で、コミットメント高く取り組んでいる人もいるでしょう。
それは、与えられた目標に対してどのような解釈の仕方を持っているかによります。
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