Theコーチング

普段何気なく使っている手法や考え方を改めて言葉に落とす、暗黙の了解を形式知化するという作業に取り組んでいます

Presenceとは

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Presenceが行動を決定する

Presenceは価値観、考え方、ものの捉え方といったものです。

「仕事は成果で評価すべき」だと考える人もいれば「成果だけでなくプロセスも評価すべき」と考える人もいるでしょう。

どれがいいか悪いかということはありません。

ただし、自分がこれまでの人生で構築し、色々な場面で有効に機能してきたPresenceであっても、あらゆる場面で使えるとは限りません。

しかし、そのPresenceは本人にとって考えの前提となっているため、意識として対応することは難しいのです。

再び「コーチが持つべき3つの視点」で登場した、営業課長のAさんを取り上げます。

初めて管理職になったAさんは、コーチに対して「課の目標を達成したい」との想いを語りました。

そして、「プレイヤーとして自分の成績を上げる役割から、チーム全体の成績を上げる役割に変わったことを意識していくことが大事だ」とも言いました。

しかし1ヶ月経つと「なかなか思い通りにメンバーが成果を上げない」と言います。

どんな状況なのかと聞くと、Aさん自身が部下の担当顧客先に出かけていき、商談をまとめてしまっていました。

しかも、少し嬉しそうに「いつまでも自分が商談に行くようでは、チームの数字は上がらないな」と言ったり、「まだまだ俺がいないとだめだな」と言ったりしていました。

Aさんは、チーム全体の成績を上げる役割に変わったことを意識できているでしょうか?

Aさんの言動を見てみると、「自分の成績を上げるのがよい」というプレイヤー時代に作られたPresenceが根強く残っています。

Aさんの場合、それが管理職として「部下の行動を促進し、チーム目標を達成する」という目標を妨げていました。

コーチは、AさんのPresenceの印象をフィードバックし、今選択すべきPresenceはどのようなものかを問いかけます。

クライアントは現在のPresenceを認識することで、今どのPresenceが適しているかを選択し直すことができるのです。

Presenceは体験によって作られる

Presenceは、人がこれまでの人生で得た体験によって作られています。

人は上手くいったパターンを無意識で繰り返し、上手くいかなかったパターンを避けることを経験上学びます。

経験は積み重なり、人が判断する時の軸となります。

人は毎回毎回「どうやったら上手くいくだろう」とは考えません。

時間をかけると状況が変化していきますし、成果を上げるスピードも落ちます。

物事を上手く進めるために無意識下で即座に判断できる軸として、Presenceを身につけているのです。

例えば、Bさんが入社時に配属された部は、早く仕事をすることが重要視されていました。

Bさんもその通りに仕事をこなし、高い評価を得る中で「仕事はスピードが大事」というPresenceを獲得していきました。

しかし、その後異動した部署では、多少遅くても「正確さ」が求められました。

Bさんは今まで正確さよりスピードを重視し続けていたため、求められている成果をなかなか出せない状況が続きました。

新しい部署に来た段階で、Bさんは「スピードと正確さ、どちらも満たすことはできないのか?」「どんな時にスピードが大事で、どんな時に正確さが求められるのか?」と考え、自分のPresenceを場に応じて選択できるようになることが必要だったのです。

分かりやすく大きな変化があった場合を取り上げていますが、一緒に働くメンバーが変わったり、社内ルールが改定されたりと環境は常に変化しています。

変化に対応せず同じPresenceを持ち続けていると、いつの間にかそのPresenceが現状とマッチせず、成長の妨げになってしまうことがあるのです。

現在のパフォーマンスを最大化するために、現在必要なPresenceを選択することが重要なのです。

Presenceを自覚することは難しい

自分のPresenceを自覚するのは、なかなか難しいことです。

なぜなら、本人にとってそれは当然の前提になっているからです。

「仕事を早くやる」「自分の成績を上げる」などは本人にとっては当たり前のことであり、それを疑うこと自体が困難なことなのです。

このままではいけないと明確に自覚できるのは、大きな失敗をした時でしょう。

そこで、コーチはクライアントのPresenceに関して、日頃から質問やフィードバックをして自覚を促します。

そして、クライアントが明確にPresenceを自覚する手段としては、自分のPresenceを言語化してもらうのが有効です。

Presenceを使った判断は無意識下で瞬時に行われているため、言語化することで意識しじっくり考えることができます。

その上で現状に最も適したPresenceはどのようなものかを考えて課題達成に向かうのです。

そのきっかけとなる質問例は、こんなものがあります。

  • 「価値観や座右の銘は何でしょうか?」
  • 「それを大事にしている理由は何ですか?」
  • 「いつからその価値を大事にしていますか?」
  • 「その考え方が大事だと身につけた時と比べて、今違うことはありますか?」
  • 「その価値が仕事で現れているのはどんな時ですか?」

ここでPresenceを自覚し、行動が変化した例を紹介します。外資系企業で働くCさん(女性)には、D君という新人の部下がいました。

彼が資料を作る際の仕事の進め方に、Cさんは頭を痛めていました。

D君に資料作成を頼むと、作成途中の段階で上司や同僚に相談をせず、またフィードバックを受けに来ることもありません。

そして締め切り直前になって資料を提出してくるのですが、経験も知識も未熟なD君が作った資料は大幅な書き直しが必要なことも少なくありません。

しかも締め切りギリギリの修正なのでCさんがD君につきっきりになって作り直す羽目になります。

もちろん、Cさんは「作成途中から、定期的に上司や同僚に資料を見せてアドバイスしてもらったり、方向性の確認と修正を行ったりするように」と日頃伝えていますが、少しの間はD君の行動に現れても、すぐ元に戻ってしまいました。

CさんはD君自身で「誰にも相談せずに資料を作ってしまう」という行動に背景に気付けるようコーチングを試みました。

D君が途中で資料を見せない背景は以下の通りでした。

  • 未完成の状態で見せてしまうと、フィードバックを受けやすい。
  • チームのメンバーに自分の能力が低いと思われてしまう
  • だからなるべくフィードバックされないように、自分でも完璧だと納得できるレベルまで仕上げてから見せたいと思ってしまう
  • フィードバックされると、自分の能力が低いように感じて落ち込む

自分のPresenceを言語化した後、D君は「何で僕はこんなにプライドが高いんでしょうね」と漏らしたそうです。

コーチングは、他のやり方を選ぶ可能性についても及びました。

  • 未完成の段階で見せたらフィードバックが来るのは、むしろ当たり前
  • 未完成の段階でフィードバックを受けておけば、締め切り間近にCさんに迷惑をかけることがなくなる可能性が高い
  • プライドが高いと言うが、仕事に対してプライドを持って取り組むのは悪いことではない
  • しかし、そのプライドのせいでフィードバックが受けられず、仕事の質が下がってしまうのは本末転倒
  • 最終成果物の品質を高めるために、少々格好が悪い気がしてもどんどんフィードバックを受けに行くことが本当のプライド

D君は「よくよく考えると、自分で自分の首を絞めていたんですね。

次からは必ず途中で資料をお見せするようにします」と宣言し、それからは本当に未完成の状態でフィードバックを頻繁に受けに来るようになったそうです。

3つの要素はそれぞれ影響し合っている

3つのPBPの視点は、それぞれが相互に影響し合っています。

例えば、PossessionとBehaviorの場合、知識やスキルを利用して行動するという関係にありますが、行動から学び、それをスキルとして備えていくということもあります。

PresenceとBehaviorの場合は、人が行動を起こす時にまず頭で理解して行動を起こすというパターンと、行動することでそのやり方がよいと理解できるパターンがあります。

またPossessionとPresenceの場合は、考え方が変わって新しいスキルが必要だと思うこともあるでしょうし、スキルが身について「これもできそうだ」と思うこともあるでしょう。

このように、3つの分類を考えると難しい感じることがあります。

コーチングにおいては相手のどの要素を扱うべきかを考えるよりも、相手の成長を考えるガイドラインとしてPBPを利用し、多面的にアプローチすることが重要です。


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